暑くもなく、寒くもなかったように記憶しているので、たぶんすごしやすい春か秋の朝だったと思う。ニューヨーク、セント・マークス・プレイスにあるスターバックスに、メガネにひげ面、ミリタリージャケットを着てあらわれたケヴィンは、ちょっと神経質でとっつきにくそうにみえた。握手を交わし、いったん話しだすと印象とは裏腹に、多弁で話しやすい人柄だった。彼がGirl スケートボードのアートディレクターを辞め、SSURのプロジェクトと自身のライン、Natural Born の仕事に専念するためニューヨークに移り住んですぐだから、1999年ころだったと思う。そのころぼくが一緒に Tシャツを作っていた Michael Leon (マイケル・レオン) の強い勧めがあって、こうしてケヴィンと初めて出会った。

その後、ケヴィンとも一緒に「Atlantis」というレーベル名でTシャツを作りはじめた。それは世がブッシュアドミニストレーションとグローバル経済に向かおうとする中で、失われつつあるストリート・スピリットを取り戻すという意思を持ったデザインで、とてもコンセプチュアルだった。コンセプトに縛られすぎたためか、広く支持される結果にはならなかったが、彼のスピリットが深くこめられた魅力的なデザインだった。

ケヴィンはその後一度 LAへ戻り、Stussy のアートディレクターに就任するが、あまりの利益第一のアグレッシヴな社風になじめずすぐに退職。LA で一児をもうけ、その後アーバン・アウトフィッターズのアートディレクターとしての職を得、フィラデルフィアへと移り住んでいった。

今、またこうやってケヴィンのデザインに出会えてうれしく思う。しかもまた、以前ともにTシャツを作っていたTyler Gibney 率いる HVW8 からリリースされているのにも縁が感じられる。Frisco Motor Cycle のような、ヘルスエンジェルスを彷彿とさせるようなタイプフェイス。アンダーグラウンドなサブカルチャーシーン、ストリートカルチャーシーンへのスピリットが感じられ、「相変わらずスピリチュアルだな」とほほえんでしまった。

このTシャツは、ロサンジェルスのギャラリー、HVW8 によって制作されたもので、Publik: が輸入販売を行っています。

タイトル :  Bone
アーティスト/デザイナー :
Kevin Lyons / ケヴィン・ライオンズ
レーベル : HVW8
アイテム :  T-shirt
展開サイズ : メンズ S – M – L
展開色 :  ホワイト、ブラック
プリント :  シルクスクリーン
コットン100%

# HV-04-004